〈驚異〉の文化史

序 章 驚異考……………………山中由里子      1 驚異とは?      2 驚異と中世一神教世界      3 先行研究      4 比較研究の可能性と問題点      5 ジャンルの問題      6 驚異の定義      7 歴史的展望   第Ⅰ部 驚異とは何か 第1章 ヨーロッパ中世における驚異……………………池上俊一      はじめに      1 中世知識人にとっての驚異      2 分類・定義の試み      3 キリスト教的驚異について      4 驚異の歴史      おわりに 第2章 イスラームにおける奇跡の理論……………………二宮文子      はじめに      1 イスラームにおける奇跡の発生原理      2 イスラームにおける奇跡の分類      3 驚異譚・奇跡譚・歴史叙述 —— 中世南アジアの事例から      おわりに   第Ⅱ部 驚異の編纂と視覚化 第1章 中世イスラーム世界の旅行記と驚異譚……………………亀谷 学        —— 驚異を目にした人々      はじめに      1 イスラーム世界における旅と旅行記      2 旅と驚異      3 ガルナーティーの旅と驚異      4 旅行記と驚異譚の書      むすびにかえて 第2章 天上・地上の驚異を編纂する……………………守川知子        —— ペルシア語百科全書成立の12世紀      はじめに      1 トゥースィーの 『被造物の驚異と万物の珍奇』      2 諸学を編纂する      3 12世紀の思想潮流の中で      おわりに 第3章 ヨーロッパ中世の東方旅行記と驚異……………………大沼由布      はじめに      1 驚異の目撃譚としての旅行記      2 旅行記という枠組みが与える他の条件      3 信憑性を持たせるための記述上の工夫      おわりに 第4章 ヨーロッパ中世の奇譚集……………………黒川正剛      はじめに      1 古代から中世へ —— 奇譚集の誕生      2 『皇帝の閑暇』 における奇譚      3 『アイルランド地誌』 における奇譚      4 三大百科全書と奇譚      おわりに 第5章 コプト聖人伝に見られる驚異な奇跡譚……………………辻 明日香      はじめに      1 もう一つのキリスト教世界における奇跡譚の編纂      2 「驚異」 としての奇跡譚      おわりに 第6章 中東イスラーム世界の写本絵画と驚異……………………林 則仁      はじめに      1 中東イスラーム世界における写本絵画の伝統と 『被造物の驚異』      2 カズウィーニーの 『被造物の驚異』      3 驚異の視覚的描写から見る世界観      4 視覚化によって高められる信憑性      5 『被造物の驚異』 写本絵画と他の書物      おわりに 第7章 イスラーム美術に表された驚異の動物……………………小林一枝      はじめに      1 初期の動物表現、実在する動物と空想動物      2 聖獣もしくは瑞獣としての空想動物      おわりに 第8章 ヨーロッパ中世写本の挿絵に見る驚異……………………松田隆美      1 驚異の視覚化と挿絵      2 死後世界への旅と驚異      3 典礼書の余白に描かれた驚異      4 装飾モチーフ化される驚異 第9章 ロマネスク床モザイクに見る驚異……………………金沢百枝        —— オトラント大聖堂の分類不能な怪物たち      はじめに      1 謎を読み解く試みの数々      2 オトラント大聖堂の床モザイク      3 偉人の驚異譚      4 分類不能な怪物たち      おわりに   第Ⅲ部 驚異のトポス 第1章 ヨーロッパ中世の驚異譚における空間 (トポス) と時間 (クロノス)…………池上俊一      はじめに      1 驚異の空間      2 驚異の時間      3 古代形象の例 —— 魔術師ウェルギリウス      おわりに 第2章 東方の驚異……………………大沼由布        —— ヨーロッパにおける巨大蟻の記述の変遷      はじめに —— 東方の驚異と古代からの知識の継承      1 ギリシア・ローマ時代の巨大蟻の記述      2 ヨーロッパ中世における巨大蟻の記述      おわりに 第3章 動く島の秘密……………………杉田英明        —— 巨魚伝説の東西伝播      1 中東世界      2 西方伝承      3 東方伝承      4 日本への伝来 第4章 想像の地理と周縁の民族……………………山中由里子        —— 女人族伝承の東西伝播      1 驚異の民族      2 アマゾン伝承の起源      3 中世イスラーム世界に伝わったアマゾン伝承      4 女人族とアレクサンドロスの出会い      5 船乗り譚や旅行記における女人族伝承 第5章 驚異としての北方……………………家島彦一        —— イブン・ファドラーンの記録を中心に      はじめに      1 イブン・ファドラーンの旅      2 驚異の源泉としての北方ユーラシア世界      むすびにかえて —— 驚異譚の定型化と知識の伝承 第6章 驚異としてのアフリカ大陸……………………鈴木英明        —— 中世アラビア語地理文献に見えるザンジュ地方      はじめに      1 行政官たちの地理書・バルヒー学派      2 渡航者たちによる著作      3 島嶼部の登場と混同      4 陸と海との傾向の分化、驚異の行方      おわりに 第7章 ピラミッドという驚異……………………亀谷 学      はじめに      1 ピラミッドの驚異性      2 ピラミッドへのアプローチ      3 中世イスラーム世界のピラミッド学の集大成      むすびにかえて 第8章 ペルセポリスとイスラーム世界の 「七不思議」……………………守川知子      はじめに      1 イスラーム世界の 「七不思議」 にみる 「驚異の建造物」      2 「スライマーンのモスク」 としてのペルセポリス      3 「ジャムシードの玉座」      おわりに 第9章 ストーン・ヘンジと驚異の国土……………………見市雅俊      1 中世編 —— 先住権のあかし      2 近世編 —— ローマ化のあかし      おわりに 第10章 月から見える万里の長城……………………武田雅哉      1 長城という驚異      2 「月から見える長城」 の誕生      3 だれかが見た長城      4 火星人も長城を見ている?      5 「月の男」 の変貌   第Ⅳ部 驚異の転生 第1章 ヨーロッパ近世の驚異……………………黒川正剛        —— 怪物と魔女      はじめに      1 ヨーロッパ近世における驚異・怪物の増殖      2 驚異と自然      3 魔女言説における驚異・奇跡・魔術と自然      おわりに 第2章 驚異の部屋 「ヴンダーカンマー」 の時代……………………小宮正安      はじめに      1 ストゥディオーロからヴンダーカンマーへ      2 「術」 の満てる空間      3 「驚異」 のディスプレイ方法      4 「異形」 をめぐるコレクション      5 30年戦争前後のヴンダーカンマー      6 ヴンダーカンマーの変容と終焉      おわりに 第3章 自然誌と博物館……………………見市雅俊        —— 近世イギリスの驚異の行方      はじめに —— 驚異の時代      1 「驚異」 と 「好奇心」      2 トラデスカント・コレクションとアシュモリアン博物館      3 プロット自然誌      4 化石 —— 自然の造形力      5 驚異の文化の終焉 第4章 「驚異の地インド」 の内在化……………………小倉智史      はじめに      1 ムスリム宮廷におけるサンスクリット文献の翻訳活動      2 『アクバル会典』 におけるインドの思想と習俗      3 地続きになる遠い過去 —— 『カシミール史』 のイスラーム前史      おわりに 第5章 イスタンブルの民衆と奇物……………………宮下 遼        —— 驚異から日常の中の異常へ      1 オスマン朝における驚異の記録      2 帝都イスタンブルの奇物      3 「異教の気配」 としての帝都の歴史的重層性      4 驚異の日常化 第6章 歴史的パレスチナにおける奇跡譚の今……………………菅瀬晶子        —— 聖者ハディル崇敬の事例      はじめに      1 聖者ハディルとは      2 現代の歴史的パレスチナにおけるハディル像      3 ハディル崇敬の特徴と奇跡譚      4 ハディル崇敬の場所とその霊験      5 ハディルの奇跡譚      6 奇跡と霊験のあいだ

著者
山中 由里子
出版社
名古屋大学出版会
発売日
2015-10-23
価格
6,300円(税込・書誌情報提供:openBD)
ISBN
9784815808174
ページ数
528ページ

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