昭和二十年夏、女たちの戦争
実らないのよ、なにも。好きな男がいても、寝るわけにいかない。それがあのころの世の中。それが、戦争ってものなの。 空襲下の東京で、夜中に『源氏物語』を読んでいました。絹の寝間着を着て、鉄兜をかぶって。本当にあのころは、生活というものがちぐはぐでした。 終戦直後の満州・ハルビン。ソ連軍の監視の下で、藤山寛美さんと慰問のお芝居をしました。上演前に『インターナショナル』を合唱して。 はじめての就職は昭和二〇年春、疎開先の軽井沢。三笠ホテルにあった外務省の連絡事務所に、毎日、自転車をこいで通いました。 終戦翌年の春、青山墓地で、アメリカ兵から集団暴行を受けました。十四歳でした。母にだけは言ってはいけない。そう思いました 薔薇のボタン
- 著者
- 梯, 久美子, 1961-
- 出版社
- 角川グループパブリッシング
- 発売日
- 2012年7月発売
- 価格
- 590円(税込・書誌情報提供:openBD)
- ISBN
- 9784041003824
発売済み