歌集『花いかだ』

掲載歌より 花いかだ川を流れて果てしれぬわが残生を乗せていづこへ 一滴の涙のわけを問ふまでに記憶の中の虹はるかなり 草の絮保たれてゐる静けさに耳朶冷えてきく春の梵鐘 青嵐や風のながれを溯り物恋しさの魚となるまで 野ざらしの石の地蔵のよぎりゆき傷心の夜の途方もなき道 うさぎうさぎ神に召されて久しかる名月に透く影のメルヘン 叫びつつ果たせしものは何ならむ風鎮もりて冬木は黙す うらうらと淡きむらさき揺蕩(たゆた)ひてわれに憑(つ)きくる何ぞ徒(あだ)しき 頰うちて気持ちを起たす朝ごとの自虐か自愛か神に問ふなり
- 著者
- 向井 緑
- 出版社
- 飯塚書店
- 発売日
- 2020-11-01
- 価格
- 2,400円(税込・書誌情報提供:openBD)
- ISBN
- 9784752281320
- ページ数
- 158ページ
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