詩集 解体の時

生家に行き着いたときにはもう遅かった 夏はとっくに過ぎ去っていた 近所との境を立ち塞いでいたブロック塀さえない 我々の土地は更地となり 誰の地でもない顔をしていた 春が来るたびに雑草の新芽がいっせいに芽吹くので 父が、日なが草むしりしていた庭もなく 物騒になっていく世の中から独り身を隠すため 母が、新調したばかりの玄関の引き戸もなかった (「解体」より) ここ数年、また詩を書いている。ノートの端やiPadのドキュメント、スマホのメモに。レシートの裏や付箋の余白にまで。そんなことをしていたら、ちょうど実家を取り壊すことになった。家族の誰一人解体に立ち合えず、跡地さえ訪れることが叶わない地が詩の題材に加わった。 私にとっては三冊目の詩集だ。二冊目から二十年も経ってしまった。二冊目以降、同人誌や新聞に掲載されたにもかかわらず忘れていた詩もあった。もう忘れてしまわないようにという自戒も込めて、その中から四編を真ん中のパートに入れた。そのほかは日常の中でただ書かれ、どこかにバラバラに置かれていた詩たちだ。(あとがきより)

著者
山本敦子
出版社
書肆侃侃房
発売日
2026-06-10
価格
2,000円(税込・書誌情報提供:openBD)
ISBN
9784863857315

発売済み

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