井伏鱒二と「ちぐはぐ」な近代

◆井伏に逆らって井伏を読む!◆ 『山椒魚』や『黒い雨』で知られる井伏鱒二はどういう作家でしょう。『多甚古村』『本日休診』などによる「庶民文学」「ユーモア作家」というイメージが一般的ですが、本書は、そういうイメージによって抑圧されたものをさぐろうとします(場合によっては、本人の思いこみにも逆らって)。イメージや先行研究に振り回されることなく、「同時代コンテクスト」という具体的な場を参照しつつ、テクストをきちんと読み込むことで、プロレタリア文学や柳田民俗学との格闘、『ジョン万次郎漂流記』などの漂流もの、『花の町』『遙拝隊長』における同時代への違和などに底流するものとして「異種混淆性」(「ちぐはぐさ」)をさぐり出し、井伏文学のもつ「可能性の中心」を提示します。最近、猪瀬直樹により盗作問題を提起された井伏ですが、猪瀬の読みのいい加減さも指摘されます。気鋭の新人による第一級の井伏論といえましょう。
- 著者
- 滝口明祥 著
- 出版社
- 新曜社
- 発売日
- 2012-11-28
- 価格
- 3,800円(税込・書誌情報提供:openBD)
- ISBN
- 9784788513143
- ページ数
- 376ページ
発売済み
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