夏のレクィエム

妻は末期がん、最後の日々に ふたたび咲くロマン! 一滴の水も呑み込めなくなって その日々を妻が日記に綴り 家で看取った夫がそれを小説に クリスチャンで酒飲みの妻 不倫がバレて家を出された夫 元文学ボーイと文学ガール 色んなことがありました。 南国の眩い光 悲しすぎる影 死を前にして妻は忙しい ジョークを言い 神に祈り 西瓜を口に含み 器に戻す この命がいとおしい たまらなくいとおしい この命が いとおしい  妻は自宅で息を引き取ったのだが、最後の四十二日間、邪悪な癌が喉をふさぎ、一滴の水も飲めなかった。(…)ただ、死を前にしていると思えぬほど二人はジョークを言い合い、一度もいさかいをしなかった。こんなこと、ここ数年あったろうか。  納骨からしばらくした或る日、夫は脳をいたく刺激される一品にでくわした。妻の寝台のヘッドボードに小さなノートを見つけたのだ。(…)  何度も読み返すうち、これを篋底に置いておくのが惜しくなった。この中には自分に不都合なこと、思い出したくないことも含まれているが、この日記を土台にして小説が書けないものか。(…)そうだ小説を書こう。(「序章」より)

著者
小川 征也
出版社
作品社
発売日
2023-12-05
価格
2,000円(税込・書誌情報提供:openBD)
ISBN
9784867930076
ページ数
204ページ

発売済み

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