聞書水俣民衆史 2
『聞書水俣民衆史』の2巻です。
前の1巻は1990年6月1日発売です。
次の3巻は1989年6月1日発売です。
同じ日に聞書水俣民衆史から発売の書籍は、この書籍を含めて2冊です。

第二巻「村に工場が来た」1908〜1925年頃 ▼明治四一年、水俣村に小さな化学工場が建つ。夕方になると人も通らない、川下の淋しい場斬に。村の一角に異質な世界が、出現したのだ。赤々と燃える電気炉というものがあり、湯気の出る石(カーバイド)を作るという。村の日雇の日給よりなお安く、人を使うという。あそこに行けば、一日一人づつ死ぬげなという風評も立った。現金収入に苦しむ村人たちも、さすがに二の足を踏む。工場に入ったのは、村の最下層の人たちであった。日本窒素肥料株式会社の歴史の始まりである。 ▼村の小さな化学工場は、今にも潰れるという話だった。しかし、一〇年も経つと、事情は一変する。廃止になっていた村の塩田跡に、従業員二〇〇〇人という、大工場が新たに建設されたのである。今度は、村人こぞつて工場に入る。一軒に二人の青年が居れば二人、三人居れば三人。それでも、水俣だけでは労働者が足りずに、近郷近村、天草や長島などから、人々が蝟集してくる。一日本の村の工業化は、どのようにして行われたのか。水俣村にとつて、工業化とは何であったか。それが、本巻のテーマである。 ▼わたしたちは、建設の状況を見た後、幼年期と青年期の工場の内部に入り、労働実態を調べる。工場の生産は、カーバイドから石灰窒素、石灰窒素から変成硫安の製造へと、進んでいた。その労勧の特徴は、肉体労働中心であったことである。労働者は牛馬と思って使えといわれた。乞食から更に下がって牛馬! 労働の本質もまた、牛馬的だったのである。 ▼工場がどれだけ支配力を持つかは、一日働いていくら稼げるかによつて決まる。日本窒素が、熊本県八代郡鏡に建設した姉妹工場で、大正七年米騒動の一環として、暴動的大争議が起きる。その影響で、水俣の地方的特殊低賃金が是正される。その結果、工業化の生んだ賃労働は、労働の呪詛を越え、民衆の生活の闇に射す光となった。民衆の側の凄惨な原始蓄積が始まり、人々は工業化に歓呼し、結婚し子供を生み家を建てる希望を持つに至る。村はようやく文明開化期を迎え、町になっていったのである。
- 著者
- 岡本 達明、松崎 次夫
- 出版社
- 草風館
- 読者対象
- 教養書
- 内容
- 世界史
- 発売日
- 1989年6月1日
- 発売日の出典
- openBD
- 価格
- 3,000円(税込・書誌情報提供:openBD)
- ISBN
- 9784883230310
- ページ数
- 300ページ
発売済み
Xでシェアシリーズの既刊・続刊
同じ日に聞書水俣民衆史から発売
- 聞書水俣民衆史 3

1989年6月1日
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