リジェネラティブ・ツーリズム

場所に根ざした関係性の再生をめぐる理論・政策・地域事例

サステナブル・ツーリズム(持続可能な観光)の限界に対する批判的応答としていま国際的に注目を集めるリジェネラティブ・ツーリズム(再生型観光)。「関係性の再生」を軸に、富山県西部と広島県鞆の浦の事例分析もふまえて理論枠組みへと昇華した本邦初の総合的研究書。

著者
藤本 直樹
出版社
明石書店
読者対象
一般書
内容
社会
発売日
2026年10月22日
発売日の出典
openBD
価格
4,500円(税込・書誌情報提供:openBD)
ISBN
9784750361659
ページ数
208ページ
判型
A5判

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目次

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 はじめに 序論  [1]背景   1-1 リジェネラティブ・パラダイムの登場と観光への適用   1-2 COVID-19以降の国際的潮流――先住民族の制度枠組みとの融合  [2]本研究の焦点――先住民に関連する諸要素への注目と限界  [3]学術的・政策的貢献可能性   3-1 先住民の制度的背景を持たない地域としての日本の可能性   3-2 「場所」を起点とした倫理的基盤の構築――リジェネラティブ・ツーリズム理論と観光政策における位置づけ  [4]研究目的   4-1 問題の所在と分析視角   4-2 本研究の目的と貢献 編Ⅰ 理論編 第1章 リジェネラティブ・ツーリズムの理念モデルと観光政策実践への橋渡し  1.1 リジェネラティブ・ツーリズムとは何か(定義)   1.1.1 リジェネラティブ・ツーリズムの登場背景――COVID-19以後の観光改革論   1.1.2 リジェネラティブ・ツーリズムの定義  1.2 理論的基盤――サステナブル・ツーリズムからのパラダイム転回としてのリジェネラティブ・ツーリズム   1.2.1 存在論・認識論的な転回   1.2.2 サステナブル・ツーリズムとの差異  1.3 リジェネラティブ・ツーリズムを観光政策・計画に統合するための概念枠組み   1.3.1 「観光地の形成」フェーズ――観光地を「生活の場」として捉える存在論的転回   1.3.2 「リジェネラティブ・ツーリズム中心の計画アプローチ」フェーズ――政策・計画プロセスにおける認識論的転回   1.3.3 「継続的・長期的なネットポジティブ」フェーズ――持続的・長期的再生を志向する再生的マインドセット   1.3.4 総括――リジェネラティブ・ツーリズム概念の政策的適用と先住民に関連する諸要素の理論的意義  1.4 諸外国におけるリジェネラティブ・ツーリズムの観光政策への具体的統合   1.4.1 存在論的転回とステークホルダー再編の視点   1.4.2 認識論的転回および評価枠組みの視点   1.4.3 実践・行動の視点   1.4.4 倫理的基盤の「言語化」と政策統合の差異  1.5 小括 編Ⅱ 政策編 第2章 日本における観光政策の構造と限界――倫理的基盤の不在とリジェネラティブ・ツーリズムへの接続  2.1 はじめに  2.2 分析枠組み   2.2.1 存在論的視点――観光を「生きたシステム」として捉える   2.2.2 認識論的視点――多元的知識と価値観に基づく意思決定   2.2.3 実践・行動的視点――地域主体による再生プロセスの駆動   2.2.4 分析枠組みの適用  2.3 分析事例――「好循環モデル事業」  2.4 分析結果――好循環モデル事業のパラダイム分析   2.4.1 社会-生態システムとしての観光とステークホルダーの再編――存在論的視点からの分析   2.4.2 文化的価値に基づく意思決定と多元的知識の統合――認識論的視点からの分析   2.4.3 地域主体による実践と能力開発――実践・行動的視点からの分析  2.5 考察――リジェネラティブ理念の制度翻訳をめぐる国際比較と日本的文脈  2.6 小括 編Ⅲ 地域事例編 第3章 先住民の制度的背景を持たない地域における倫理的基盤の構築はいかに可能か――地域の事例分析に向けた方法論  3.1 本章の目的――理論的課題と実証的アプローチの接続  3.2 研究デザインと方法論的ポジショニング   3.2.1 質的比較事例研究の枠組み   3.2.2 理論的サンプリングの妥当性――「言語化」の有無による対照性   3.2.3 解釈的現象学的分析(IPA)の採用   3.2.4 各事例におけるインタビュー対象者のサンプリング方法   3.2.5 データ収集   3.2.6 個別事例研究の分析手続き   3.2.7 研究倫理上の配慮  3.3 小括 第4章 土徳に基づく観光の倫理的基盤の構築――富山県西部地域におけるリジェネラティブ実践  4.1 はじめに  4.2 事例の概要   4.2.1 「土徳」を基盤としたリジェネラティブ・ツーリズムの形成可能性   4.2.2 水と匠の形成経緯と事業構造   4.2.3 土徳について   4.2.4 土徳概念の導入・共有・意味づけの経時的展開  4.3 結果   4.3.1 A氏における「土徳」の経験   4.3.2 B氏における「土徳」の経験   4.3.3 C氏における「土徳」の経験  4.4 小括 第5章 集合的記憶から「場所の感覚」へ――鞆の浦における観光実践と関係性の再構築  5.1 はじめに  5.2 事例の概要   5.2.1 文化的景観の保存と開発のはざまとしての鞆の浦   5.2.2 鞆の浦におけるまちづくりの展開と主要アクター   5.2.3 対立後の鞆の浦を形づくる主要アクターの抽出と関与経緯   5.2.4 集合的記憶論を中心とする鞆の浦の景観保存の根拠とその変化  5.3 結果   5.3.1 行政への観光まちづくりに関するインタビューの結果(福山市役所)   5.3.2 NPOへのインタビューの結果(鞆まちづくり工房)   5.3.3 若者移住者へのインタビューの結果   5.3.4 対立後のまちづくりに対するアクター間の認識文脈  5.4 小括 編Ⅳ 総合編 第6章 統合分析  6.1 本章の目的と構成  6.2 富山県西部地域――言語化により価値を共有する「共同進化型」  6.3 鞆の浦――摩擦を通じて場所の感覚を育む「対立媒介型」  6.4 事例比較の視座――場所に根ざした関係性  6.5 比較と統合的考察――2つの経路と共通性   6.5.1 再生の道すじ(プロセス的次元)――断絶の修復か、調和的深化か   6.5.2 文化的媒介(知的・精神的次元)――実践による更新か、言語による共有か   6.5.3 マインドセットの転換(実践的次元)――保存から受容へ、消費から循環へ   6.5.4 統合的考察――共通的概念としての「場所とともに生きる倫理」  6.6 理論的位置づけ   6.6.1 「場所とともに生きる倫理」の理論的射程   6.6.2 国際比較からみた制度と実践の相互作用――日本的文脈の特性と示唆 第7章 結論と展望  7.1 主要な知見  7.2 政策的示唆  7.3 今後の課題と展望  あとがき  参考文献  索引

著者について

藤本 直樹

公益財団法人日本交通公社観光研究部副主任研究員。立命館大学OIC総合研究機構客員研究員。2026年立命館大学大学院政策科学研究科博士後期課程修了。博士(政策科学)。株式会社JTBでの観光実務を経て現職。政策・実践の現場に継続的に関わりながら研究活動を行う。 専門は観光政策・観光ガバナンス。リジェネラティブ・ツーリズムを軸に、地域社会と自然環境の再生に資する観光政策とガバナンスのあり方を探究している。 〔主要業績〕 「日本の観光政策においてリジェネラティブ・ツーリズムの萌芽は見られるのか――国のモデル事業を用いた政策事例の検討」(共著、『地域情報研究』14号、143-155頁、2025年) 「集合的記憶から場所の感覚へ――鞆の浦のまちづくりの新たな展開におけるアクター間の認識分析」(共著、『ノンプロフィット・レビュー』25巻1号、63-72頁、2025年) 「リジェネラティブ・ツーリズム研究の課題と展望」(『観光学評論』12巻1号、31-45頁、2024年) “Empowering Local Communities through the Tourism Social Enterprise Approach: A Case Study of Entra Indonesia”(Journal of the Asia-Japan Research Institute of Ritsumeikan University, No.3, pp.33-50, 2021〔AJI最優秀論文賞受賞〕)

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