老いをきりりと、生きる

ごあいさつ(本書より)  私は、昭和三(一九二八)年生まれで、今年九十歳になります。昭和と平成を歩んで参りました。その平成の時代も、今上天皇の生前退位で去ろうとしています。  同級生はもはやほとんどいなくなりました。まわりを見渡せば、年齢を重ねますと、認知症になる人もあり、杖を手放せなくなる方もおられます。気持ちのうえでは、愚痴の多くなった友人がおります。どんなことにも文句を言いたくなって、我慢できない方をよくお見かけいたします。  気に染まないことが多くなる一方で、どこかを患っていたりして健康な方は少なく、また、若い方相手に限らず、同じ年頃同士の会話も成立しにくくなっています。私のなかには、毎日をほんの少しの気の持ち様で、明るく楽老後をもっと楽しく過ごす、しく生きられるのにという、歯がゆい想いが募りました。これまで伊達に長生きしたわけではないのに。きりりとしゃっきりされている方もいらっしゃるのに。どこが違うのだろう?  この本は、そんな気持ちで過ごしているうちに、見たり聞いたりしたことについて、思ったり考えたりしたことを記した、楽しく生きたい私の、雑記帳のようなものです。  『九十歳。何がめでたい』という本があるそうです。私には、めでたいと言い切ることもめでたくないと言うこともできませんが、じきに九十歳を生きる毎日は、ただ新しい日々の訪れと過ぎ去るときどきに、目に映る事柄や近しい人々とのたわいもないやりとりをただ楽しみに、明るくていねいに、毎日を暮らすことこそが私の人世だと思って過ごしております。  お手の触れたページをめくり、気にかかる言葉があれば、その周辺をさらりと読み流していただけたら幸いです。

著者
島津 みえ
出版社
水曜社
読者対象
一般書
内容
日本の評論・随筆
発売日
2018年1月25日
発売日の出典
openBD
価格
1,000円(税込・書誌情報提供:openBD)
ISBN
9784880654294

発売済み

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