文学研究者は翻訳をどう読んでいるのか

【文学にとって、翻訳とは何か──。】 文学において翻訳はいかに営まれてきたのか。翻訳者はいかなる存在として描かれ、翻訳そのものは文学のなかでどのように表象されてきたのか。冷戦をはじめとする、文学を取り巻く社会状況は、そのときいかなる影響を及ぼすのか。 本書は以下のような多彩な事例を通して自明視されている「翻訳」をめぐる読者の思考を揺さぶる。 ・樋口一葉の『たけくらべ』とその2つの英訳 ・多和田葉子『地球にちりばめられて』で描かれる母語や複数言語 ・太宰治『人間失格』のマンガアダプテーションを例とする〈記号への翻訳〉 ・冷戦期に英訳された日本近代文学作品の選定と受容過程 ・小説作品における、翻訳者自身の表象 本書は、翻訳について思考するための、もっとも豊かな実験場である文学に注目し、その豊かな関係性を探究する。訳の巧拙といった議論にとどまらない、翻訳と文学をめぐる見方を大きく更新する一冊である。 【本書を読むことで読者が、「原文」「訳文」「翻訳」「文学」「日本語」「英語」「母語」「外国語」「越境」といった、翻訳を考えるときに当たり前のようについてくる言葉を問い直すことになればよいと考えている。そして、そうした問い直しが最終的には「主体」「多様性」「共同体」といった概念の思考へと接続される可能性を示したい】 ……「序章 翻訳から文学を、文学から翻訳を考える」より。 ■本書のポイント (1)翻訳がとりわけ日本の近代文学においていかに機能するのかを徹底的に探究。 (2)翻訳をめぐる思考を通じて、「主体」「多様性」「共同体」といった概念の再考を迫る。 (3)アメリカの大学院に進学し、海外で日本文学を学んだ筆者自身の経験、さらには日本文学を英語で教えることなど、教育的な内容のコラムを配置。 ■本書で取り上げられる作品・人物 樋口一葉『たけくらべ』、多和田葉子『地球にちりばめられて』、太宰治『人間失格』と『まんがで読破『人間失格』』、谷崎潤一郎『陰翳礼讃』、大佛次郎『帰郷』、堀田善衛『広場の孤独』、武田泰淳『蝮のすえ』、エドワード・E・サイデンステッカー、ドナルド・キーン、ロバート・ライオンズ・ダンリー、ロマン・ヤコブソン、ロラン・バルト、夏目漱石『倫敦塔』、温又柔、川端康成、水村美苗など。

著者
榊原理智
出版社
文学通信
読者対象
一般書
内容
日本の評論・随筆
発売日
2026年9月23日
発売日の出典
openBD
価格
3,800円(税込・書誌情報提供:openBD)
ISBN
9784867661307
ページ数
272ページ

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