産婆と戦争

戦時期日本の生殖と雑誌メディア

現代では、妊娠した女性の大多数は病院で出産する。しかし、かつては産婆(助産婦)というリプロダクティブ・ヘルスの知識をもった女性が、妊婦の自宅で出産に立ち会うのが慣例だった。妊娠、出産、産後など、様々なケアを担う産婆は、戦争とそれを推進する力学にどのように向き合い、巻き込まれ、主体的に協力していったのか。 本書では、第2次世界大戦の戦前から戦中に刊行された産婆雑誌を取り上げ、産婆の社会的地位や役割がどのように変化していったのかを明らかにする。産婆は専門職として自らの地位の向上をめざして奮闘する一方、妊婦の身体を管理して健康な子を産ませ、兵士を戦地に送る役目を期待され、実際にそれを担うようになっていった。 貴重な産婆雑誌を丹念に読み込むことで、医師と産婆の緊張関係、産婆という専門職性の変容、そして戦時の人口政策の最前線に立たされた産婆の姿を描き出す。 【目次】 まえがき 大出春江/松岡悦子/田間泰子 第1章 大日本産婆会の設立・成長・限界――『大日本産婆会総会並大会誌』 松岡悦子 第2章 東京府産婆会の組織化・分裂・再統合――「助産の友」にみる日中戦争の衝撃 大出春江 第3章 軍と天皇――「産婆之友」の世界 田間泰子 第4章 土屋清三郎と戦時下の産婆たち――雑誌「産師界」 松岡悦子 第5章 戦争への道と巡回指導婦――「助産之栞」を読む 大出春江 第6章 生殖をめぐる知の支配――「助産と看護」と「補習産婆学雑誌」 田間泰子 あとがき 大出春江/松岡悦子/田間泰子

著者
大出 春江、松岡 悦子、田間 泰子
出版社
青弓社
読者対象
一般書
内容
日本史
発売日
2026年11月18日
発売日の出典
openBD
価格
3,400円(税込・書誌情報提供:openBD)
ISBN
9784787221117
ページ数
300ページ
判型
四六判

発売まであと33日

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著者について

大出 春江

大妻女子大学名誉教授。専攻は社会学。著書に『赤ちゃん審査会というメディア・イベント』(大阪大学出版会)、『産婆と産院の日本近代』(青弓社)、編著に『看取りの文化とケアの社会学』(梓出版社)、共著に『産み育てと助産の歴史』(医学書院)など。

松岡 悦子

奈良女子大学名誉教授。専攻は文化人類学。著書に『妊娠と出産の人類学』(世界思想社)、『出産の文化人類学 増補改訂版』(海鳴社)、編著に『バングラデシュ農村を生きる』(風響社)、『子どもを産む・家族をつくる人類学』(勉誠出版)など。

田間 泰子

大阪公立大学名誉教授。専攻は家族社会学、ジェンダー論。著書に『「近代家族」とボディ・ポリティクス』(世界思想社)、『母性愛という制度』(勁草書房)、共編著に『生殖補助技術と少子化時代』(京都大学学術出版会)、共著に『問いからはじめる家族社会学』(有斐閣)など。

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