長居

◆第二句集 行きずりの焚火にあれど長居せし 大槻さんの句は〈花鳥風詠〉というより人事の中に入り込んで来る自然、森羅万象の中に身を置いた生活詠が多い。 人間関係のそれもちょっとした思惑、遣り取りの齟齬などに触れ敏感に反応する。言葉の〈綾〉を上手く掬い取る名手である。 ◆中原道夫抄出 春泥の足跡われを尾行する 我が不覚もみ消すやうに陽炎へる 夏萩やすずしき貌で嘘をつく 歪みこそ普遍の世界くわりんの実 夜景みな箱庭と化す稲光 毛糸編む縒の戻らぬこと承知 言ひ訳のやうに出てきし余蘖かな 紙風船つけば親子でちがふ音 身中の虫目覚めさす夜長かな 人なべて不開の扉もち端居 舌を出す蛤のオオミステーク 唐黍は若さで齧るものらしく

著者
大槻和木
出版社
ふらんす堂
発売日
2025-05-19
価格
2,800円(税込・書誌情報提供:openBD)
ISBN
9784781417295

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